2020年6月7日(日)聖霊降臨節第2主日 三位一体主日 宣教要旨

ヨハネによる福音書14章1節~14節

「主イエスは父に至る道」 大三島義孝牧師

14:1 「心を騒がせるな。神を信じなさい。そして、わたしをも信じなさい。

14:2 わたしの父の家には住む所がたくさんある。もしなければ、あなたがたのために場所を用意しに行くと言ったであろうか。

14:3 行ってあなたがたのために場所を用意したら、戻って来て、あなたがたをわたしのもとに迎える。こうして、わたしのいる所に、あなたがたもいることになる。

14:4 わたしがどこへ行くのか、その道をあなたがたは知っている。」

14:5 トマスが言った。「主よ、どこへ行かれるのか、わたしたちには分かりません。どうして、その道を知ることができるでしょうか。」

14:6 イエスは言われた。「わたしは道であり、真理であり、命である。わたしを通らなければ、だれも父のもとに行くことができない。

14:7 あなたがたがわたしを知っているなら、わたしの父をも知ることになる。今から、あなたがたは父を知る。いや、既に父を見ている。」

14:8 フィリポが「主よ、わたしたちに御父をお示しください。そうすれば満足できます」と言うと、14:9 イエスは言われた。「フィリポ、こんなに長い間一緒にいるのに、わたしが分かっていないのか。わたしを見た者は、父を見たのだ。なぜ、『わたしたちに御父をお示しください』と言うのか。

14:10 わたしが父の内におり、父がわたしの内におられることを、信じないのか。わたしがあなたがたに言う言葉は、自分から話しているのではない。わたしの内におられる父が、その業を行っておられるのである。

14:11 わたしが父の内におり、父がわたしの内におられると、わたしが言うのを信じなさい。もしそれを信じないなら、業そのものによって信じなさい。

14:12 はっきり言っておく。わたしを信じる者は、わたしが行う業を行い、また、もっと大きな業を行うようになる。わたしが父のもとへ行くからである。

14:13 わたしの名によって願うことは、何でもかなえてあげよう。こうして、父は子によって栄光をお受けになる。

14:14 わたしの名によって何かを願うならば、わたしがかなえてあげよう。」

今日は三位一体主日です。父なる神さま、子なる神さまイエス・キリスト、聖霊なる神さまを、三位一体の神さまを覚えて礼拝をささげています。

 ヨハネによる福音書14章、主イエスは父に至る道という見出しの箇所を読みました。

 主イエスは、わたしたちにとってどういうお方なのでしょうか。主イエスのお言葉です。7節、あなたがたがわたしを知っているなら、わたしの父をも知ることになる。今からあなたがたは父を知る。いや既に父を見ている。9節、わたしを見た者は父を見たのだ。10節、わたしが父の内におり、父がわたしの内におられることを信じないのか。わたしの内におられる父がその業を行っておられるのである。11節、わたしが父の内におり、父がわたしの内におられると、わたしが言うのを信じなさい。もしそれを信じないなら、業そのものによって信じなさい。

わかりやすく言うと、主イエスを知ることは父なる神さまを知ること、主イエスを見た者は父を見ること、そして主イエスは、父なる神さまの内におり、父なる神さまは主イエスの内におる。すなわち、主イエスというお方と父なる神さまはひとつということです。

父、子、聖霊なる神さま、三つでひとつということです。

古代教会の時代、順序として、主イエスは神か人かという、キリスト神人論争が起きました。そして、キリストは真の神にして真の人であるという正統教義が生まれました。さらに三一論、神さまはただおひとりの方であるが、三つの位格、三位、神さま、主イエス、聖霊という三位一体論が生まれたのです。

わたしたちは神さまを見たことがありません。いまだかつて神を見た者はいない。(ヨハネによる福音書1章18節)わたしたちは神さまを見ることができません。しかし主イエスは見ることができました。

わたしたちが神さまは見ることができないのには、いくつも理由があると思います。ひとつには、やはり神さまは「霊」だからです。ここにある机や椅子ではありません。教会には神さまがおられると思うのですが、建物そのものが神さまではないと思います。神さまは見える物質ではないのです。そもそも神さまは見えるというお方ではないのです。

出エジプト記の33章に、「あなたはわたしの顔を見ることはできない。人はわたしを見て、なお生きていることはできないからである。」とあります。神さまは見ることができないし、見てなお生きる人はいないのです。罪人であるわたしたちが神さまの前に出ると、そのお顔を見たならば滅び去ってしまう存在にすぎないということです。

わたしたちが神さまは見ることができないふたつ目の理由は、人は罪があるからだと思います。

主イエスはわたしを見なさい、知りなさいと言われました。主イエスを見る者は父を見る、主イエスを知る者は父を知るのです。

知るという聖書の言葉は、深い結びつき、関係をあらわす言葉です。なぜなら、主イエスは父の内に。父が主イエスの内におられるということです。「いまだかつて神を見た者はいない。父のふところにいる独り子である神(主イエス・キリスト)、この方が神を示されたのである。」(ヨハネによる福音書1章18節)

 今日の聖書の箇所が、繰り返しになりますが、キリスト教の教義の成立に意味を持ちました。キリスト両性論(神人論)、そして三位一体論の成立に、たいへん重要な役割をはたした聖書箇所なのです。

主イエスは神さまの独り子、独り子なる神であり、真の神さまであり、父と子は一体、ひとつなのです。主イエスの中に父なる神さまがおられ、父なる神さまの中に主イエスはおられるのです。

ヨハネによる福音書の冒頭、「初めに言があった。言は神と共にあった。言は神であった。この言は初めに神と共にあった。」(1章1節、2節)言葉であるキリストは神さまと最初から一緒であった。父と子は一体であったのです。

旧約聖書、創世記の冒頭、「初めに神は天地を創造された。地は混沌であって闇が深淵の面にあり、神の霊が水の面を動いていた。」

最初からあった神の霊、父と子なる神と聖霊、三つでひとつの神さま、しかし唯一の神さまは一体の神さまであり、主イエスによって現わされたのです。

キリスト教の中心はキリストです。三位一体の神さまの中心はキリストです。キリスト中心の三位一体論といいます。

わたしたちは、キリストという窓を通して神さまを知り、見ることができます。キリストを通して聖霊を知ります。聖霊は、キリストが父に願って遣わされた神の霊です。キリストが窓であり、門であり、戸口です。

偶像礼拝は刻んだ像を拝むことです。単に偶像の神を拝むだけでなく、自分たちの都合のいい神さま、人の勝手な小さな頭の中で考えた偶像の神です。

人は神さまを造りだします。人の数ほど偶像の神さまはいます。人間の数以上に、人の欲望の数だけ神さまは造られます。健康の神さま、商売の神さま、家族の神さまです。無病息災、商売繁盛、家内安全とは良く言ったものです。安産の神さま、子宝の神さま、宝くじの神さま、受験の神さま、ぽっくり死ねる神さまがいます。

 「欲深きもの人間、弱きもの人間、そして人間のわたし」(あいだみつを)

 人間の歴史は罪の歴史でした。聖書の民、神の民イスラエルの歴史もまた、偶像礼拝の罪の歴史でした。偶像を拝んだ民は、神さまにこらしめられ、罰を受けました。しかしまた罪を犯します。

どうして人は偶像の神を造るのでしょうか。それは目に見えないものに人は頼れないからです。目に見えるものに頼るという心理があるのです。

真の神さまである、主イエスがわたしたちの神さまであるなら、一切の偶像礼拝から引き離されるのです。主イエスによって父なる神さまに出会い、主イエスによって聖霊を注がれ、神さまがわたしたちのあいだに住まわれるのです。

8節、フィリポの言葉です。「主よ、わたしたちに御父をお示しください。そうすれば満足できます。」わたしたちも同じ問いがあります。神さまを見せてくださいという願いで心はいっぱいなのです。

主イエスはお答えになりました。「わたしを見た者は父をみたのだ。なぜそういうことを言うのか。わたしの内に父がおり、父の内にわたしがいる。」「信じさない。信じる者になりなさい。わたしの名によって願うことは、何でも願いをかなえてあげよう。父は子によって栄光をお受けになる。」

主イエスは父に至る道です。6節、「わたしは道であり、真理であり、命である。わたしを通らなければだれも父のもとに行くことができない。」

主イエスがその道です。わたしたちが歩く道は主イエスです。この道は、もっと強い意味では、この道以外は道が無いということです。父なる神さまに行く道、至る道は主イエスという 道の他にはありません。

神さまと私たち人をつなぐ道は、かつては律法という道がありました。しかし亀裂します。人は罪を犯し、神さまの栄光を受けられなくなってしまったのです。罪の歴史、偶像礼拝の歴史は繰り返したのです。

そこに主イエスという道がついたのです。主イエスという道は、十字架につかれた主イエスの道であり、復活の道であり、聖霊降臨という道です。

わたしたちは主イエスを神の子と信じ、この主イエスの十字架と復活の恵みの中を生かされています。天地を造られた神さまに向かって、「アバ父よ」と呼びかけることができ、既に神の子とされているのです。

主イエスは父に至る道というお話をしました。

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